管理人ヒツジが中国の上海地区に夫と一緒に住んでいた経験を活かして中国での生活習慣や中国の環境、状況などをご紹介します。
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上海地区での仕事 レポート1( 市場軽視の人脈優先は時代錯誤、新中国ビジネスの人脈ネットワークとは@ )
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中国ビジネスにおける人脈依存度は年々低下している。しかし、中国事業といえば人脈を最重要視する日本企業、日本人は依然多い。陳腐な情報をアップデートしないまま、時代遅れになっている好例だ。 急成長する中国国内市場に食い込もうと狙っている日本は、官民一体となり攻勢を強めている。大変結構なことだが、やり方の幼稚なものが随所に見られる。 地方自治体から業界団体までこぞって中国に視察団を送り込む。視察日程を見ると、地方政府や開発区当局への表敬訪問に多くの時間が取られている。こういったところを訪ねると、通り一遍の外交辞令に加え、地方の役人が自慢話を始め、「域内総生産(GDP)の成長やインフラの素晴らしさ、世界トップ企業500社の当地への投資件数と規模…」との棒読みに終始する。この手の情報がほしければ、役所の公式ウェブサイトにでもアクセスすればそのまま日本語訳も載っているはずだ。視察の目的はやはり人脈作りだろう。 日本企業が対中投資の際に関係する相手は3種類に分けられる。(1)政府や行政機関(2)その他の企業と市場、消費者(3)自社の株主や従業員――だ。かつて中国が外資企業に市場開放していない時代は(1)の政府、行政機関が投資認可の生殺与奪の大権を持っているだけに最も重要な存在だったが、いまの中国で外資企業の事業勝敗を決定するのは、もはや(2)と(3)である。 最近の中国ビジネスの失敗事例を見ても、政府役人関連の事例は極めて少ない。しかも、外資で役人関連の失敗事例となると賄賂絡みがダントツに多く、下手をすると刑事罰に遭遇することもしばしばだ。とにかく違法なことはやめるべきだ。 政府や行政機関とのパイプ作りが重要でないと言っているのではない。しかし、これはあくまでも事業遂行のツールでしかあり得ない。企業設立から運営段階まで工商、税関、公安など複数の行政機関が絡んでいるが、主にライセンス、許認可関係だ。人脈パイプによって諸手続きがより円滑に進められても、事業そのものに根本的な変化を与える要素は含まれていない。 仏小売大手のカルフールは店舗展開する際、中国の国家レベルの政策運用に関係するだけに、同社トップが北京詣でに精を出したが、こういった多国籍企業の大規模事業や高速鉄道建設などの国家プロジェクト以外に、一般の外資企業が政府に売り込まなければならない場面は極めて少なくなっている。 むしろ、中国の市場と消費者に目を向けないと、許認可をいくら取得しても商品が売れず、莫大な赤字を計上し、最終的に無残な撤退に追い込まれる。もう一つ、中国の役人の立場を考えてみよう。彼らは外国からの資本と技術の導入という使命を背負っているが、自国市場を外資に差し出すどころか、外資の浸透を極力阻止しなければならない。利益が相反するため、市場開拓を役人に願い出ても役に立たないことを念頭に置きたい。 日本企業、日本人が中国ビジネスとなると、まず人脈作りを考える理由は何なのか――。それは人脈という早道を使って事業を成功させたいからだ。言ってしまえば人脈を利用することだ。 しかし、利用される側の立場に立って考えたことはあるのだろうか。ただでさえ、したたかで利に聡い「商人民族」の中国人が黙って利用されるとは思えない。すると、「高級幹部の子弟」や「○○大臣とつながりのある人物」などと名乗って寄ってくる人間は、まず詐欺師と疑ったほうが良い。人脈を利用しようという日本人の下心が逆に利用され、だまされる。こういう日本人が「中国人は嘘つき」と被害者を気取る資格はまったくない。まず動機が不純だったことを反省すべきだ
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| 上海地区での仕事 レポート2( 市場軽視の人脈優先は時代錯誤、新中国ビジネスの人脈ネットワークとはA ) |
1980年代の中国には、高級幹部の子弟や親族の人脈を使って事業を成功させた企業経営者が存在していた。しかし、市場経済が成熟化するにつれ、マーケットの力が格段と向上した。ここ数年で高官の子弟を利用して発展した私営企業などはほとんど見なくなった。一方、汚職を一掃しようとする中央政府は官僚の親族への監督をさらに強化した。 外資企業の例を持ち出さなくとも中国の私営企業を見てみると良い。現在の中国社会で強い影響力を持つ私営企業の社長の多くは、農村部出身者や国営企業の一職員といった身分からスタートしている。厳しい競争社会を生き抜こうと努力し、自分のアイデアでビジネスチャンスを手に入れた人がほとんどだ。人脈も持ち合わせていない状態から一歩一歩成長して出世するサクセスストーリーを成し遂げたわけだ。戦後の日本もこういった人がたくさんいたのに、豊かになってくると、創業の苦難をロマンと感じる心が失われていったことが悲しい。 中国の成功した私営企業家に人脈がまったくないわけではない。事業がある程度成功した時、事業計画が有望だと見込まれれば、スポンサーがついたり人脈に恵まれたりすることも少なくない。つまり、自分自身の利用価値を相手に明示しない限り、白紙状態でただ人脈を利用するというのは無理な話なのだ。相互利用によってパワーアップし、相互利益を増大させるという構図を提示することが大前提で、そこから人脈ネットワークが形成されていくのだ。 日本企業の多くは人脈形成につながると思われる人間に、ただ「よろしくお願いします」と頼み込む傾向がある。それだけでは無理だ。「私と組むことによってこんなふうにビジネスが展開し、貴方にとってこれくらいの利益になる」という程度まで説明できれば、「よろしく」なんて不要である。相手は早速「ぜひ、一緒にやろう」とこちらに頼んでくるに違いない。中国人は利に聡いのだ。 ビジネスのアイデアがなく、先方にバックアップを依頼しようとすると「カネ」しかない。カネの力を使うと賄賂になり、刑事責任まで取らされ、某大手商社の駐在員のように最後には御用になる。現代日本社会の「金余り症候群」ともいえる。国際社会へ貢献しようと汗水たらすことなくただ札束をばら撒くだけでは、いつまでたっても国際社会から尊敬を得られない。 中国市場で事業を成功させようとすれば、人脈は欠かせない。しかし、まず考えるべきものは人脈ではなく、周到な市場調査、現状に即した実行性のある事業と収益計画ではないか。これが確固たるものであれば、きっと事業は軌道に乗るし、人脈も付く。そこから、小さな成功が大きくなり、またさらに大きな人脈ネットワークが出来上がるに違いない。これは中国事業の良い循環である。 つまり、「人脈が富をもたらす」のではなく、「富によって人脈が付く。人脈がさらに富をもたらす」というわけだ。 現在40歳代や50歳代の中国の私営企業家の多くが文化大革命の被害者であり、まともに学校へ行っていない人や、国営工場で労働者として働いてきた人が多い。苦難の時代を生き抜こうと、生存本能が強い彼らは時代の変遷を機敏に感じ取り、アイデアを果断に実行していくことによって成功を手中にした。ビジネスに成功した彼らの多くは、企業の地元への影響力を買われ、省や市の人民代表(議員)に選ばれるといったケースが多い。そこでさらに一気に人脈ネットワークが広がるわけだ。 日本企業が中国市場で生き残ろうとすれば、人脈は絶対に必要だ。トラブルや問題解決という時だけでなく、ビジネスを大成功させる上で、人脈のプラス効用は絶大だ。ただし、日本企業はただ人脈を利用するだけというマイナス発想と決別しなければ、いつまでも中国ビジネスの将来は開けない。
コンサルティングの現場でも中国ビジネスの人脈を紹介してくれと頼んでくる日本企業が多い。その場合はやはりビジネスプランから着手すべきだ。将来が描ける事業計画を立てたところで人脈形成プランをスタートする。早道はない。 |